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言い間違いやすい日本語の練習問題(無料)その4

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言い間違いやすい日本語の練習問題(4)

■次の文の(  )に入る最も適切な日本語を下から選び記号で答えなさい。

1. 突然の大雨で、公園で遊んでいた子供たちは(   )家路についた。

A 蜘蛛を散らすように  B 蜘蛛の子を散らすように

2. 彼は毎週末、友人たちと一緒に(   )のを楽しみにしている。

A 碁を指す  B 碁を打つ

3. 彼は自分の策略で競争に勝つと思ったが、結局は(   )結果となった。

A 策士策に溺れる  B 策士策に敗れる

4. 彼女は子供たちの教育に(   )、多くの人材を育て上げた。

A 心血を注ぎ  B 心血を傾け

5. 彼の分析は、問題の核心を正確にとらえ、(   )。

正鵠せいこくを射ている  B 正鵠を突いている

6. 彼らは(   )ために決意を新たにした。

A 雪辱を晴らす  B 雪辱を果たす

7. 彼は酔いがまわるといつもワインについて(   )。

A うんちくを傾ける  B うんちくをたれる

8. 政治家は権力を利用して(   )ことがある。

A 横車を押す  B 横車を入れる

9. 彼は夢を実現するために(   )を続けた。

A たえまざる努力  B たゆまざる努力

10. この映画は名作で、ラストシーンは(   )だ。

A 極め付け  B 極め付き

11. 彼は重大なミスをしてしまい(   )状況に陥ってしまった。

A 後へも先へも行かぬ  B 後へも先へも引けぬ

12. 彼女は資格試験に合格するために(   )勉強した。

A 寸暇を惜しまず  B 寸暇を惜しんで

13. 彼は巧みな話術で相手を(   )。

A けむりに巻いた  B けむに巻いた

 

言い間違いやすい日本語の練習問題(4)の解答・解説

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■次の文の(  )に入る最も適切な日本語を下から選び記号で答えなさい。

1.突然の大雨で、公園で遊んでいた子供たちは(  )家路についた。
   A 蜘蛛を散らすように  B 蜘蛛の子を散らすように

「蜘蛛の子を散らすように」は、蜘蛛の子がたくさん入っている袋(卵嚢らんのう)をやぶると、蜘蛛の子が四方に散らばって逃げることから、物事がばらばらになる様子を表します。

 

2.彼は毎週末、友人たちと一緒に(  )のを楽しみにしている。
   A 碁を指す  B 碁を打つ

「囲碁」では、碁石を盤上に置く動作を「打つ」と表現します。これは、碁石を力強く打ち付ける動作から由来しています。

一方、「将棋」では、将棋の駒を盤上に動かす動作を「指す」と表現します。これは、将棋駒を指先で繊細に操る動作から由来しています。

 

3.彼は自分の策略で競争に勝つと思ったが、結局は(  )結果となった。
   A 策士策に溺れる  B 策士策に敗れる

「策士策に溺れる」は、「策略に巧みな者が策をもてあそびすぎると、かえって失敗するものである」という意味です。

「策士」は、自分の思う通りに物事が進むよう戦略を立てる人のことを指します。「参謀」は人を支えるために策略を立てる人のことで、自分の利益を重視する策士とは言葉のニュアンスが異なるので、同じ意味として使用しないようにしましょう。

 

4.彼女は子供たちの教育に(  )多くの人材を育て上げた。
   A 心血を注ぎ  B 心血を傾け

「心血を注ぐ」 は、「自分の精神とエネルギーを全て注ぎ込む」という意味です。「心魂しんこんを傾ける」とも言います。その他類義語に、「心魂を込める」、「全力を尽くす」、「精魂を傾ける」、「全精力を傾ける」などがあります。

 

5.彼の分析は、問題の核心を正確に捉え、(  )。
   A 正鵠せいこくている  B 正鵠を突いている

「正鵠(せいこく)」は、慣用読みで「せいこう」とも読まれます。

正鵠には、次の2つの意味があります。

(1)弓のまとの中心にある黒点・・・的の中心は、最も重要な部分であり、射手しゃしゅが目指す目標です。そのため、「正鵠」は目標を達成することや、物事を正確に理解することの比喩として使われます。

(2)物事の急所や要点・・・物事の最も重要な部分、核心部分を指します。議論や問題解決において、「正鵠を射る」という表現は、「問題の本質を捉え、的確な指摘をする」という意味です。

「正鵠を射る」は、「正鵠を得る」とも言います。対義語は、「正鵠を失する」です。

「正鵠を射る」と同じような慣用句に「的を射る」があります。どちらも「要点や核心を捉える」という意味ですが、「正鵠を射る」の方がより正確に核心を突いているという意味合いになります。

 

6.彼らは(  )ために決意を新たにした。
   A 雪辱を晴らす  B 雪辱を果たす

「雪辱を果たす」は、「過去に受けた敗北や恥辱を、後に勝利や成功によって晴らす」という意味です。

同義語に「屈辱を晴らす」という慣用句がありますので、「屈辱を晴らす」から「雪辱を晴らす」という誤用が生じたのかもしれません。「屈辱」は恥ずかしい思いをさせられることなので、それを晴らすことは良いのですが、「雪辱」は恥を拭い去ることなので、それを晴らすことは恥を自ら受け入れたいという意味になってしまいます。

なお、「雪辱」の「雪」は、天気の「雪」ではなく、「そそぐ」と読み、「すすぐ」、「洗い清める」、「恥や不名誉などを取り除く」という意味です。

 

7.彼は酔いがまわるといつもワインについて(  )。
   A うんちくを傾ける  B うんちくをたれる

「うんちくを傾ける」は、自分の知識や経験に基づいて、自分の持っているすべてを出しつくして人に伝えることを指します。

通常は、相手がそれに興味を持つかどうかを考慮せずに、自分の知っていることを披露する傾向があります。この表現は、話がつまらないと感じる場面や、相手にとって興味のない話題でも、無理やり話題を展開しようとする時に使われます。

「うんちく」は、漢字で「蘊蓄(薀蓄)」と書きます。「蘊」は「蓄える」という意味。「蓄」は「蓄積する」という意味を表し、「蘊蓄」とは、「たくわえ」、「学問上の深い知識」という意味です。

 

8.政治家は権力を利用して(  )ことがある。
   A 横車を押す  B 横車を入れる

「横車を押す」は、「道理に合わないことを無理に押し通す」という意味です。

車輪は前後にしか動きませんが、車輪を無理やり横に押すことで、方向を変えることはできます。このことから、「横車を押す」は、無理やり自分の思い通りにしようとする行為を比喩的に表す表現になりました。

話の途中で横から口をはさんで、妨害することを「横槍よこやりを入れる」と言いますが、「横車を入れる」は、この言葉と混同されているのではないでしょうか。

 

9.彼は夢を実現するために(  )を続けた。
   A たえまざる努力  B たゆまざる努力

「たゆまざる努力」は、「休みなく続けられる努力」という意味です。「たゆまざる」は、「絶えることなく続く」という意味の言葉です。

「ざる」は、動詞の未然形に付く打ち消しの助動詞です。「たえま(絶え間)」は、「切れ目」という意味の名詞なので、助動詞「ざる」を付けると文法的に間違いになります。

「たゆま」は、動詞「たゆむ(弛む)」の未然形です。
未然形 たゆま [ない/う]
    たゆも
連用形 たゆみ [ます/た]
    たゆん
終止形 たゆむ [。]
連体形 たゆむ [とき]
仮定形 たゆめ [ば]
命令形 たゆめ [。]

「たゆまざる努力」は文語的表現で、口語的には「たゆまぬ努力」を使用することが多いです。

 

10.この映画は名作で、ラストシーンは(  )だ。
   A 極め付け  B 極め付き

「極め付き」は、良い意味でも悪い意味でも、「すぐれたものとして定評のあること・もの/折紙つき」という意味を表します。

「極め付き」とは、本来は、「書画・刀剣・骨董類などに極書きわめがき極札きわめふだと呼ばれる鑑定書が付いている」という意味です。「極め付け」だと「極書を付ける」という意味になります。

 

11.彼は重大なミスをしてしまい(  )状況に陥ってしまった。
   A 後へも先へも行かぬ  B 後へも先へも引けぬ

あとへも先へもゆ/いかぬ」は、「行き詰まって、どうにもならない状況」、「事が行き詰まって、引くことも進むこともできず、どうにも動きがとれないようす」を表す言葉です。

「後へも先へも引けぬ」は、「やめられない」、「譲歩できない」という意味の「後に引けない」と混同されていると思われます。

 

12.彼女は資格試験に合格するために(  )勉強した。
   A 寸暇を惜しまず  B 寸暇を惜しんで

「寸暇を惜しんで」は、「わずかな時間も無駄にせず、何かに集中して努力する」という意味です。「寸暇」は、「(忙しい中の)わずかな時間」、「惜しむ」は、ここでは「大切にする」という意味です。

「寸暇を惜しまず」だと、「わずかな時間を大切にしない」、つまり、「無駄な時間を過ごす」という意味になってしまいます。

 

13.彼は巧みな話術で相手を(  )。
   A けむりに巻いた  B けむに巻いた

「けむに巻く」は、「煙で視界を遮るように、巧みにごまかしたり、意図的に分かりにくくしたりして、相手を惑わせる」という意味です。

「けむり」と「けむ」の漢字は、両方「煙」です。「煙に巻く」という成句の場合「けむにまく」と読みます。火事などで「煙に巻かれる」は、「けむりにまかれる」です。

尚、古典に出てくる「煙(烟)」は、「けぶり」と読みます。
「立ちのぼるけぶりにつけて思ふかないつまた我を人のかく見む」和泉式部
(立ちのぼる(火葬の)煙を見るにつけてつくづく思う。いつ煙になった私を人々がまたこうして見るのだろうかと。)

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